民間活力とかいう迷言

http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/toyama/archive/news/2005/07/12/20050712ddlk16040547000c.html
整備新幹線と言えば並行在来線の問題、そんなわけで第三セクターの話でも。
まずなぜ第三セクターに移管されるかというと、新幹線が開業することで在来線特急がなくなり、在来線の採算性が一気に悪くなるために経営を分離するということです。民間企業なのでやむを得ないと言えなくもないですが、公共性の高い鉄道を採算性のみで切り離すというのはあまりよろしくないと思います。そもそも採算性のみを見ると他のローカル線の方がよっぽど悪いのではないかと思いますが、並行在来線は分離しない場合は新幹線と合わせてコストが単純計算で倍増する割にパイを食い合う構造となるので採算性の高い新幹線のみを手元に置いておくということになるのでしょう。ローカル線の場合はなかなか簡単には廃止できないこともあったのですが、廃止の手続きが許可制から届け出制になったことでJR西日本可部線(可部〜三段峡)をはじめとして名鉄の600V路線など廃止されるローカル線が増えており、この傾向はまだ続くかもしれません。とはいえ可部線の場合を見ると廃止前には存続させるかどうか乗客数の観測によって決定させたという経緯があり、採算性が悪いからといってすぐに廃止できるものではありません。その点並行在来線は政治によるお墨付きが与えられてしまっているわけで新幹線開業に伴って比較的簡単に切り離すことができるのです。

さて、話がどんどんよく分からない方向に向かっていますが、今日は北陸新幹線並行在来線の問題について。とりあえずは長野〜金沢間が開業すると予想されますのでその区間の話を。
長野〜金沢間開業に伴って第三セクター化されると見込まれるのは、

県名 区間 現路線 距離
長野県 篠ノ井〜黒姫・妙高高原 信越本線 46.6km
新潟県 黒姫・妙高高原直江津 信越本線 37.7km
新潟県 直江津〜市振・越中宮崎 北陸本線 59.3km
富山県 市振・越中宮崎〜石動・倶利伽羅 北陸本線 93.3km
石川県 石動・倶利伽羅〜津幡 北陸本線 13.1km

となります。境界については両県のものを併記しました。津幡〜金沢は大阪・名古屋からの特急が和倉温泉に直通することや七尾線がJRから見ると孤立すること、更には現在の篠ノ井〜長野が似たような経緯でJR側に残されていることからJR西日本がそのまま所有すると思われます。
さて、この中でもっとも経営が厳しいと思われるのはどれか?
まず最も短い石川県ですが、金沢〜津幡間も移管されたとしても24.6kmにしかならないので富山県と共同で第三セクターを設立する可能性が高いです。次にその石川県の区間をも担う可能性のある富山県ですが、沿線には富山の他に高岡や魚津といった核が存在するので20〜40分/本くらいで均等間隔にしてわかりやすく使いやすいダイヤにすれば東北や九州に比べれば採算性は高い状態を保てるかと思います。このあたりは車両コストのかかりやすい交流区間なのですが、JR東日本の交流電車701系719系などの同型車を導入することで独自の車両を用意するより製造・メンテナンスのコストを抑えられるかと思います。
既に軽井沢〜篠ノ井間がしなの鉄道に移管されている長野県ですが、篠ノ井〜長野間は篠ノ井線からの乗り入れによる線路使用料が見込め、また長野〜豊野間は乗客も多めなので豊野までについてはプラスに働くと想定されます。何より地域の中核となる長野の存在は大きいでしょう。豊野〜黒姫・妙高高原は勾配路線であるとともに乗客もそう多くないと思われますので現状に比べてわずかに改善される程度なのではないかと思います。富山・石川県とは違いここは直流なのでJR東日本から115系を譲渡してもらうなどして車両コストを抑えられるでしょう。
最後に新潟県ですが、まず現在信越本線となっている区間北陸本線となっている区間で運転系統が完全に分離されているので実質的に2つの単独路線を持つことになります。まず信越本線側ですが、妙高上越両市の市域のみを通り、そのうち市街地となるのは新井・高田・春日山直江津の4駅のみと思っていいでしょう。沿線人口を合わせても30万に満たないことを考えても厳しい経営状況となることが想像されます。次に北陸本線側はどうかというと、こちらは更に厳しいと思います。信越本線より距離がありますがこちらも上越糸魚川両市の市域のみを通ります。こちらも沿線人口が30万に満たないのですが、更に悪条件として直江津側から見て糸魚川直前に直流から交流に切り替わるポイントがあります。このことによって直江津糸魚川間を走行する電車も交直流両用である必要が出てくるので信越本線側と共用できないのです。また交直流両用の電車はコストがかなり高くなり、この路線ではまず採算が合わないと思います。
信越本線側の場合、現在のしなの鉄道と同様に移管時にそれまで同線で使っていた車両(115系)を譲渡してもらえば十分実用に耐えると思いますが、北陸本線の車両は元々が急行用車両であったり特急用車両を改造したものだったりして普通として使うにはやや不向きであり、更には車両自体の老朽化がかなり進行しています。とはいえほぼ移管が確定的である現在、JR西日本第三セクターのために車両を置き土産にするとは思えませんので新規に導入する可能性が高いでしょう。このとき、先ほども述べたように他社が導入した車両と同型のものを導入することは導入コストの面からもメンテナンスの面からもよろしいのですが、交流の普通電車はJR九州JR東日本が、交直流両用の普通電車はJR東日本つくばエクスプレスが導入しているもののどうしても搭載機器のコストや絶対数の少なさから高くついてしまいます。つまりそれだけの投資に見合う収入が見込めない場合は導入そのものがほぼ不可能となってしまいます。
これまでに述べたことから富山県は不採算ながらもそれほど深刻ではない程度、長野県は黒字経営の可能性もあり、新潟県補助金を投入してやっと持ちこたえるか、といったレベルになるのではないかと思います。

新潟県に関しては北越急行との統合という案もありますが、あまり意味を持たないのでそうはならないかと思います。また、直流・交流を切り替えるデッドセクション糸魚川の西に持っていく、あるいは糸魚川駅の構内で切り替わるようにして北越急行の高性能な列車を乗り入れさせるというのも車両の共通化や速達化に有効かと思います。


とりとめなく書いたので同じことをくり返したり支離滅裂だったりするかもしれませんが、まあいいか(ぉ