AC-DC

部屋の中の物を色々と動かしていてふと思ったこと。
ACアダプタが嫌いなのは機器の電源を切っていても確実に電力を消費することとそれに伴って電磁波が出ること、そして物によっては高周波ノイズをも放出することから。
ACアダプタは基本的にAC-ACの降圧、AC-DCの変換からなっています。このうちAC-ACはコイルの電磁誘導によって降圧するものが主であると思います。これは近接する2つのコイル間で一方に電流を流すともう一方にも電流が流れるという作用を用いていますが、ここでコイルの巻数の比が電圧の比になり、巻数の逆数の比が電流の比になります。つまり巻数がa:b=1:2の場合はaに10V/2Aの電流を流すとbには20V/1Aの電流が流れることになります。この場合を見るとわかるようにa,bどちらも電力は20Wとなり、損失は発生しないことになります。ここで重要なのはaからbへエネルギーが変換される、つまりaの側の回路で見るとaは10V*2A=20Wを消費するような抵抗の形に見え、逆にbの回路で見るとbは電源に見えることです。bの回路では電源に見えると言うことは、bの側でそれだけのエネルギーが消費されるからこそコイル間での作用が起こるということを意味し、bの回路が何の負荷も持たなかった場合にはaは0Ωの抵抗と見なされる、つまりaのコイルの部分はショートしていることになります。
と、ここまでぐだぐだと書いてきましたが、要するに一般的なACアダプタは待機電力を0に持っていくとAC100Vの電力線の側がショートしてしまうわけです。このため機器を使っていないときもAC-AC変換部での変換やAC-DC化などの回路を動かすように構成されることとなり、結果として無駄な待機電力が発生するわけです。
ちなみにAC-DC部はどうなっているかというと、4つのダイオードを用いて菱形の回路を作り、例えば左右の頂点にACの入力があったとすると上の頂点には常に+、下には常に-が来るようにすることで脈流を作り、更にコンデンサの充放電を利用して直流になるようにしています。
さて、ACアダプタを待機電力を0に持っていくにはどうすればいいか、先ほどショートするから無理という話をしましたが、要するにAC100Vを切ることができればいいわけで、その結果としてこまめにコンセントから抜くことが奨められるわけです。それ以外の方法で機器を動作させるときだけ電力供給をさせようとすると、電源をその機器に内蔵してテレビのように主電源のスイッチを用意するしか方法はないと思います。

普通なら結論としてACアダプタは使わないときにはこまめにコンセントから抜こう、ということになりそうですが、私からすればACアダプタを使わないようにしよう、というところに至ります。例えば携帯電話の充電の場合、ほとんどの人はいちいち充電が終わったらACアダプタを抜いたりしないでしょう。このように使わない時間の方が長いものの毎日のように使うものはコンセントを抜くという習慣がつきにくいですし、そもそもコンセントがアクセスしづらいところにあるとそのような習慣がつくはずもありません。
そこで出てくるのがUSB給電ケーブル。これの利点は既にAC-DC変換されているPCの電源から必要に応じて少量の電力供給を受けることで冒頭に述べたACアダプタの問題点が解消されること。もちろんPCにも待機電力がありますので電源を切っているときに対策を取っておく必要はありますが。欠点はPCの電源が入っているときにしか使えないこと。これを短所と見なすかは人それぞれかもしれませんが。注意点としてはUSBハブから伸ばしてきては無意味だということ。バスパワーのハブでは100mAしか給電できないですし、セルフパワーの場合はUSBハブ自体がACアダプタを必要とします。

例によって電気系に詳しいわけでもないので鵜呑みにしないようにしましょう。ちなみに例示したのはトランス式のACアダプタですが、他にスイッチング式のものもあります。